統合失調症

統合失調症とは、脳の神経ネットワークにトラブルが起きることで発生する脳の機能障害です。日本人の約100人に1人の割合で発症するとされ、幻聴や妄想などの症状のほか、考えや気持ちにまとまりがみられない行動が現れている状態を言います。好発しやすい世代は10代後半~30代とされていますが、なかでも10代後半~20代半ばでよくみられるとされ、男女比では男性の方が多いとされ、女性の場合は発症年齢がやや高めという特徴があります。

原因については特定されていませんが、脳内神経が異常をきたしてしまうことで発症するとされています。現時点では、先天的にストレスに対して脆さがあるとされる方に限度以上のストレスが加わることが引き金になっているのではないかと考えられています。

主な症状は幻覚や妄想などで、このほか認知機能(記憶、注意を集中させる、計画を立案する、判断する など)も低下するようになります。なお同疾患は陽性症状、陰性症状に分けられます。それぞれのタイプの説明は以下の通りです。

陽性症状 幻覚、幻聴、妄想が現れている状態です。例えば、現実には存在したいものをあると感じる(幻覚)、聞こえないはずの声が聞こえる(幻聴)、さらにあり得ないことを信じ込む(妄想)といったことです。
陰性症状 陰性と聞くと陽性とは正反対の状態と思われるかもしれませんが、この場合は必ずしも当てはまりません。具体的には、喜怒哀楽の感情が乏しく、表情の変化が少ない状態を言います。さらに意欲が減退しているので、何事にも関心が薄く、身だしなみにも気を使わなくなります。このほか家族や友人を含め、他者とのコミュニケーションも避けるようになります。

以下のような症状に心当たりがあれば、一度ご相談ください。(例)

  • 周囲に誰もいないのに人の声が聞こえてくる
  • ほかの音に混じって、誰かの声が聞こえてくる
  • 街ですれ違う人に紛れている敵が、自分を襲おうとしている
  • 近所の人のせき払いは自分に対する警告に違いない
  • 自分が道路を歩くと、皆がチラチラとこちらを見る
  • 警察が自分のことを尾行している
  • 考えていることが、実際の声となって聞こえてくる
  • 自分の意思に反して、誰かに思考や体を操られてしまっている
  • 自分の考えていることが世界中に知れわたっている
  • 日常生活や社会生活において適切な会話や行動や作業ができにくい など

治療に関して

治療は、薬物療法と非薬物療法(精神療法)の組み合わせになります。薬物療法では、抗精神病薬を継続的に服用していき、症状を安定させるようにします。なお効果の程度は患者様によって異なります。つまり薬が効いて症状をうまくコントロールできている患者様もいれば、そうではない患者様もいるということです。後者の場合は、抗うつ薬や抗不安薬を併用する、あるいは電気けいれん療法といった身体療法を用いることもあります。

また非薬物療法も併せて行うようにします。その内容とは、規則正しい生活を行うなど生活習慣を改めるのをはじめ、グループで活動する集団精神療法、レクリエーション療法などの非薬物療法(精神療法)といったものになります。